あらすじ
三角草。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花。
閉鎖的な田舎町の中学に転校してきた少女
「春花」を待っていたのは、壮絶なイジメだった。せき止められない憎しみに、少女の心は崩壊する―――!!
（ミスミソウ完全版 上巻より引用）
登場人物紹介
野咲 春花
物語の主人公。父親の転勤のため、２ヶ月後の卒業式で廃校を迎える田舎の中学校に転校してきた。
クラスメートのほぼ全員からイジメを受けている。
相場 晄
春花のクラスメート。クラス内で唯一、春花の味方をする。
常にカメラを持ち歩いている。
小黒 妙子
クラスの女王様的存在で、イジメの主犯格。
春花にひどい仕打ちをするが、直接自身の手を汚すことはあまりなく、周囲の人間を煽って春花イジメを行っている。
南 京子
春花たちのクラスの担任教師。
春花がイジメを受けていることを知りながらも、完全に放置している。
過去のトラウマを思い出すと嘔吐してしまうクセがある。
久賀 秀利
イジメグループの一人。積極的に行動に移す過激派。
明るく染めた髪で、耳にはピアスをしている。
春花の父・母
娘・春花がイジメを受けているのではないかと心配する。
しょーちゃん
春花の妹で、小学生。
春花にちょっかいをかけるなど、いたずらっ子な一面がある。
しかし、その裏で春花に元気がないことに気付いている様子。
みどころ・ネタバレ
陰のある美少女と、
悪ガキがバッサバッサやられるところを見たい人におすすめ！
そこに浮かない表情の春花が通りがかります。
学校からの帰路だと言うのに、上履きのままの春花。
この描写から、春花が日常的にイジメられていることがわかります。
半ば諦めている春花に、相場は
「春がきて卒業すれば今よりもっと笑って過ごせる日がくるだろ」と優しく話すのでした。
靴をなくすなどの様子から、イジメを受けているのではないかと心配する両親。
しかし春花は、あくまでイジメはないと言い、
「仮にイジメられててもあと２ヶ月もすれば卒業なんだから…」と苦笑します。
その夜、春花が髪を乾かしていると、
妹のしょーちゃんがちょっかいをかけにやってきました。
しょーちゃんと過ごすひと時だけは、春花にも笑顔が戻ります。
しかししょーちゃんは無邪気な裏で、春花に元気がないことに気付いているようで…。
「こんな小さな妹に見破られるなんて… 胸が痛いな…」
と、春花は思うのでした。
春花の転校した大津馬中学校は、少子化と過疎化の影響で今年の卒業生をもって廃校となります。
この廃校の年、卒業する生徒は春花を含めてわずか十数人。
生徒同士の絆も深く、
半年前に来たばかりの春花は、彼らにとって完全な部外者なのでした。
その日もまた、春花の席が隅に寄せられ、机に悪口が掘られていました。
相場は「何くだらねーことしてんだよ」とクラスメートを窘めます。
「誰だよ」と犯人捜しをする相場。
小黒妙子の席に向かうと、
「オメーだろ 小黒、ガキか」と言います。
小黒は冷たい視線を春花に送ると、
この世のものとは思えないほど鋭い目つきで睨みます。
結局、真犯人は久賀 秀利という別の生徒だったのですが、
担任教師の南も見て見ぬふり。
しまいには、教師は過去の自分自身のトラウマと重ねて吐き気を催し、教室を出ていってしまう…。
裏山に向かうと、そこには小黒と多数の女子生徒が…。
小黒は、隠し持っていた春花の靴をつまみ出すと、
ゴミ溜めの大穴に放り投げました。
（ヒドイ…
どうしてこんな…）
そんな間にも、小黒たちは笑いながら春花の私物をどんどん穴の中に放り捨てるのでした。
罵詈雑言を浴びせながら、春花を穴の中に放置する小黒たち。
そのまま日は沈み、春花は途方に暮れていました。
そして、相場がこう言っていたことを思い出すのでした。
「この草は厳しい冬を耐え抜いた後
雪を割るようにして小さな花が咲く。
三角草はおまえみたいだ」
どういうことか、という表情で訊ねると、
その理由は三角草の花言葉にあると言います。
「はにかむと意外とかわいい、
『はにかみや』。
ほら、おまえのことだ」
感想
春花は本当に家族思いの良い子。
リーダー格の小黒を筆頭として、なぜここまでイジメられなければいけないのか？？
そして、なぜ、唯一相場は春花に優しくするのか？！
この先の話を読めばわかるのかもしれませんが……とても気になります！！